われわれはみなボバン。
- 出版社/メーカー: アルバトロス
- 発売日: 2007/03/21
- メディア: DVD
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5、6年ほど前、まだオシムが日本に来る前に、BSで放送されたのを見たんやけど、ふとTSUTAYAでDVDを発見。オシムブームの中でこんなものまで商品化されているわけで。2000年に製作のドキュメンタリー。オシムが率い、ユーロ92を前に「引き裂かれた」、最後のユーゴスラビア代表の姿とその崩壊の様子を、主に選手、監督、家族の証言をもとに描いていく展開。「オシムの涙」とあるけど、それはあくまで作品中の一場面。オシムはあくまで主人公のうちの1人。副題はややオーバー。
主な登場人物はミヤトヴィッチ、ミハイロイヴィッチ、サビチェビッチ、ボバン、プロシネチキ、オシム。懐かしい顔ぶれだことで。選手の方は既にキャリアの終盤。ようやく国際大会に「復帰」したところ。オシムはシュトルム・グラーツの監督として活躍。まあまさか、このまわりくどいオッサンが、この直後に日本へやってくるとは思わんかったけど。
作中で一番印象的やったのはボバン。ユーゴスラビア代表からクロアチア代表へと活躍の場を移したわけなんやけど、そのクロアチアに対して、過剰なまでに意味づけをするというか、神話化してみせようとするのが印象的だったわけで。あくまでも自分から主体的に選択したというより、複雑かつ急速に展開する状況の中で、降って沸いた、結果としてそうせざるをえなかったという方が適切であるにも関わらず、クロアチアがいかに待ち望んだものであったか、そして、ユーゴがいかに自分にとって長らく違和感のあるものであるかを、過剰なまでに自分の意思という枠にはめて語ろうとする。この点、ユーゴに残りつつも、それに対して慎重な態度を取ろうとするミヤトヴィッチ、ミハイロヴィッチとは対照的。ふてぶてしさすら感じられる(しかもヴィエラに人種差別的発言を発したあの)ミハイロヴィッチが、慎重な態度でいるのは、特にそれが顕著。
まあでも、こうやってオシムを過剰に意味づけようとする自分もまた、ボバンやなと。
つづきは後ほど。