Jリーグ ディヴィジョン1 第31節 ヴィッセル神戸 vs ヴァンフォーレ甲府

ブログにこんな労力を割くのは無駄だとわかりつつ…。あー、もう、酒だ酒だ。

J1も佳境。第31節。スペクタクルなアタッキング・フットボールを展開する、ヴァンフォーレ甲府を迎えての試合。自分たちのスタイルは貫きたいものの、J2降格のピンチにあるヴァンフォーレ。初見聞だけに、期待が湧き上がるのは抑えられず。早めに入ってアップに見入る。まずは甲府のアップから。

ジャグリングを済ませた後はパス回し。単にパスをまわすのではなくて、ダイレクトでパスをつなぎ続けるトレーニングへ。早いパス回し、動き出しの早さなど、スピードのある試合展開を予感させる内容。そのあと、普通なら5対5のパス回しをする広さのコートで「7対7プラス中立2人」。人多すぎ(笑)。しかし個人はもとよりチームとしての意識が高い。全体としてどんなサッカーをしたいか、どうチームを機能させたいかを、体に刷り込むような熱の入れよう。凄まじい人数とスピードのプレスの中で、個人個人がダイレクトでパスをつなぎ続け、狭い中でパスコースを作り、広いスペースへとすばやく展開。試合前にもかかわらず、この運動量。ジェフやFC東京でも、ここまではやらんかった。これからやるサッカー見せつける、そんな練習。「内容を伴わせて勝つ(勝ちたい)!」ってなところか。ええチームやなぁ…。

甲府サポーターのみなさま

数は少ないけど、声も出てるし、よくまとまって応援してた。チャントも迫力があったし。ここまで見せてもらった感じでは、選手、指導者、サポーター、経営者も含めて、いいチーム、いい試合を演出してる感じ。結果が出てないのが残念なところやけど…。しかしほんまに本気で、ええチームやなぁ、と思えた。ついでに、神戸にこんなチームがあったらええなと、ふと。

んで、楽天の方なんやけど。

ちょうど同じようなタイミングで「5対5」。毎度のことなんやけど、何かもう、目を背けたくなるような雰囲気。玉離れは悪い。1人で持ち続けたり、意味なくキープしたり、むろんダイレクトのでつなぐなんて望むべくもない。パスのスピードは遅いし、プレスは緩いし、同じとこらへんでごゆっくりとパスをつなぐ、狭いプレー。この適当さ、意識の低さは、この1年見てきた中でもずば抜けてる。いつも思うことは変わらない。何でこんなんで勝てるんや・・・?

んで、試合の方なんやけど。

前半に限って言えば、今期見た中で最高に面白い試合。いきなりDFラインでのパスミスをかっさらわれて先制されたんやけど、甲府の方はそこで自分たちのサッカーを忘れなかった。前線からの素早く、激しいプレス。楽天の方は不正確なクリアに追い込まれていく。ラインを高く保ち、相手陣内でプレスをかいくぐりながらダイレクトでパスをつなぎ続け、相手の守備をズタズタにする。ゴール前でのフィニッシュに難があるみたいやけど、楽天をゴール前に押し込み、25分にはミドルで追いつく。甲府の選手たちはピッチ上を所狭しと動き回り、これでもかというほどパスをつなぎ、ひたすら攻め続ける。完全に引いてゴール前に固まった楽天相手に、なかなかシュートが打てず。フィニッシャーがいないということも目についた。まあ、時々パスをかっさらわれたりしてヒヤヒヤハラハラするんやけど(汗)、それも含めて魅力たっぷりのチーム。とにかくおもろい試合。そんな展開に一喜一憂するサポーターのみなさん。「あ〜!」「うひゃ〜!」「あぎゃっ!」…etc、リアクションがこれまた愛らしいことこの上ない(失礼)。

後半。

楽天は3トップに変更。前半は大久保だけしかボールを放り込むところがなかったから、サイドに張らせて放り込める場所を増やしたいらしい。んで、中盤の真ん中に人数をかけて、とりあえず、ボールを取ったらひたすら、相手のDFラインの裏にボールを放り込むってことか…。

甲府側がポストにパスを入れづらくなったこともあるけど、DFラインではね返されたボールが、ドッカンドッカンと前に向かって放り込まれ、カウンターが繰り返される展開。そして、サイドに流れた大久保が、ファールをもらって(限りなくシミュレーション近いんやけど)、FK。あるいは、サイドでごねてCK。甲府の方は人数をかけて攻撃してる分、度々カウンターにさらされる。しゃーないけど、とりあえず、DFが対人マークだけはしっかりとさせておきたかったところ。何とか、甲府に踏みとどまってほしかったんやけどね…。後半はポストにボールを収めるところが上手くいかずに、攻撃に出てはカウンターを受けてたという展開。トーンダウンはしてしまったものの、何とか工夫をして楽天の守備を崩そうとするんやけど、前半に比べてねちっこさが見られなかった。特にサイドからの攻撃にそれが顕著やった気が。ペナルティエリアの前付近で崩しにかかって、有利な形でシュートに持っていこうともするんやけど、引いて守ってる楽天を最後のところで崩しきれなかった。確かに崩してからの方が確実に点が入ると言えばそうなんやけど、もう少し遠めからでも、シュートを打っても良かったなとは思う。ただ、跳ね返されてもカウンターされるからあてずっぽにシュートするとかえって危険なのも確かやけど。

前半はかなり良かったし、サッカーの内容も上手く機能すれば十分に勝てるものだっただけに、残念な感じ。あと、主審のしゃやしゃり出っぷりには辟易した。TVでは解説者がパスに逃げているとか言ってたらしいけど、それは半分違うやろうし、シュートが打ててないからと言って、内容がダメとか、弱いとか、そんなことはこのチームに関しては言えない。楽天は、甲府のみならず、ジェフ、ジュビロ、柏とか、サッカーに真摯に取り組むチームをカモにして勝ってきたわけやし。

バレーの移籍以降、フィニッシャーの確保に苦労しているのはよくわかった。パズルの最後のピースが欠けているようなものやけど、そこまではしっかり組み立てができているとは思う。ゴールの前までに行くルートは明確に見えている。これは自信を持っても良いと思うし、あと3試合全勝して、J1に残ってほしいと思う。前半の攻めっぷり、後半のカウンターでのやられっぷりを見ていて、甲府の方はサッカーに人生を賭けてる感じが伝わってきたし、浮き沈みの激しい人生そのものを体現してるみたいやった。道のりは険しいやろうけど、このサッカーの完成度を高めつつ、J1でもっと活躍してくれればと。