ハーバーランド時々雨。

『クィーン』
監督:スティーヴン・フリアーズ
主演:ヘレン・ミレン


確かに王室をめぐる人間模様や女王の苦悩や葛藤がよく描き出されているかもしれない。けれどより重要なのは、ダイアナの葬儀に至るまでの状況の中で、どういうわけか&いつの間にか、誰もが女王に魅了され、ひいてはその女王を君主に頂く君主制に魅了され、その支持者となっていくことなのではないか(この作品を鑑賞する我々も然り)。むろん、トニー・ブレアはその好例だったわけで。


特に前半部分は王室の人間臭さがよく出ていて、失笑してしまう場面が多々あった。イギリスが自分の手のひらの中にあると未だに思っていて、下々の騒ぎなどガキの喧嘩ほどにしか歯牙にもかけていない王室およびその関係者。


気位が高くて気難しいおばあちゃんにしか見えない女王(4駆乗り回すのが趣味なんやね)。空気の読めない減らず口ばかりのエディンバラ公。頑固すぎるエリザベス太后。片や離婚のこともあってか世論に神経質になり、この機会に乗じて母親に自分を誇示し、面子を回復することしか考えてない皇太子チャールズ。そして、しきたりが通じない状況に右往左往する側近たち。家族としても組織としても奇妙キテレツで、その姿はあまりにも滑稽で哀れだ。新首相トニー・ブレアはそんな王室に辟易しつつも、持ち前の政治的な勘の良さ(?)で上手く立ち回ってみせる。


以下続く。