カルチョの終焉。

カターニアパレルモ戦は戦闘状態 警官1名が死亡

 シチリアダービーとなったカターニアパレルモ戦は、サッカーの試合と呼べる代物ではなかった。スコアの上ではフランチェスコ・グイドリン率いるパレルモが2−1で勝利を収めたものの、2日金曜日の夜にマッシミーノ・スタジアムおよびその周辺で発生した暴動は、悪い意味で街全体、さらにスポーツ界全体を巻き込む事態に発展した。

 試合前、パレルモのサポーターはカターニアのサポーターとの衝突を避けるため、警備隊によって裏道へと誘導され、彼らはスタジアムに入れないまま試合がキックオフされた。土曜日には、カターニア守護聖人である聖アガタのお祭りが予定されていた……。

 後半開始から13分(その時点でパレルモが1−0のリード)、グラウンドが煙に包まれたために試合は中断。選手たちはロッカールームへと引き上げた。スタジアム外で警備隊とパレルモのサポーターが衝突し、警察側が催涙弾を使用したのが原因だった。煙はマッシミーノ・スタジアムに入り込み、ファリーナ主審は試合の中断を余儀なくされた。その後、約35分間ほどの中断を経て試合は再開。直後にカターニアがカゼルタのゴールで同点としたが、終了間際にはディ・ミケーレが手を使いつつ、2−1とする決勝ゴールを決めた。

 試合後には警官1名が亡くなったというニュースが広がった。犠牲者は38歳のフィリッポ・ラチーティ巡査長。カターニア地検はすぐさま捜査を開始した。ラチーティ氏は、パレルモのサポーターがスタジアムに入ろうとしていた際に投げつけたカード型爆竹で顔面に傷を負い、亡くなったようだ。ガリバルディ病院に緊急搬送されたが、すぐに死亡が確認された。

 負傷者は合計100名以上。スタジアム周辺ではゴミ箱に火が放たれ、石や爆竹、そのほかさまざまな物が飛び交った。警備隊が何とか鎮圧したものの、市街地戦と呼ぶにふさわしい状況だった。

 ガリバルディ病院とビットーリオ・エマヌエーレ病院には、数十人の負傷者が詰め掛けており、暴動鎮圧用の装備を身に着けた警察が見守る中、車両には物が投げつけられている。ただのサッカーの試合だったはずだが……。

(C)SPORT

[ スポーツナビ 2007年2月3日 13:58 ]

誰が何と言おうと、惨事であったことは間違いないし、イタリアのサッカーが抱えている問題は爆発した出来事であったことも疑いようがない。何よりも、カルチョへの大打撃であることはもはや明白だろう。